そとちゃん
食欲不振
9月末ごろから食欲不振でごはんをあまり食べなくなったそとちゃん。
10月に入ってからは好きだったおやつもほとんど食べなくなってしまった。


お水は自分から飲んでくれるけど、
食べ物には全然反応しない…

何日か水しか飲まない状態が続き、
お腹が空きすぎて吐く?ようなことがあったので再び病院へ。

当日の体重は2.9kg。
1週前に病院で計ったときが3.22kgだったので、
わずか7日で300g近く落ちてしまったことになる。
超音波検査の結果、胃腸炎の疑いが出た。
9月後半に追加したビクタスが少し強い薬なのでそれが影響した可能性が高いとのこと。
さらに前回追加で行った細菌検査の結果が返ってきていて、
弱い方の薬リレキシペットがそとちゃんの耳漏から採取した菌に効果があることがわかった。

胃が荒れる原因になっている可能性があり、
弱い薬でも十分効く見込みがあるとのことで、
吐き気止めのお薬を追加しビクタスは休薬することに。

胃腸炎の他に腎臓の悪化も影響しているかも?とのことなので、
さらに点滴も入れてもらった。
ひとまずこれで様子を見て、
それでも改善しないようなら点滴の頻度を増やすことになった。

強制給餌
病院から戻って数日経っても症状は改善せず…
吐くことはなかったが、
相変わらずお水を飲むだけでごはんを全く食べない状態が続いた。
なにもお腹に入らない状況は流石にまずいので、
この頃から強制給餌を始めた。
ドライフードを小さく割り、
お薬の錠剤と同じ要領で上を向かせた状態で口を開けて飲み込ませる。

9月末からお薬はこの方法で飲ませていて、
そとちゃんも俺も割と慣れていたのでスムーズに飲ませることができた。
が、問題はその量。
ドライフードを飲ませられる量は一回で高々1,2粒なので、
必要なエネルギー(カロリー)は全然足りない。

そとちゃんの負荷もしんどそうで、
どうしよう…となり、点滴も兼ねて再び病院へ。
点滴

この日は血液検査とエコー検査をしてもらった。
血液検査の結果、
腎臓の数値は9月に行った猫ドック時とあまり変わらず少し高めの数値で、
悪くなってはいないが良くもなっていないという状況。
エコー検査では強制給餌したドライフードがお腹の中でうまく消化できず残っていることが確認された。
胃腸炎は治っていそうだが、
何日間かごはんを食べていなかったのもあり、
消化器自体の働きがあまりよくない様子。
この日の体重は2.8kgで、
たった数日で100gも落ちてしまっていた。

先生に強制給餌の件を相談し、
より高カロリーで消化器への負担も少ないロイヤルカナンの流動食を与えることになった。

流動食を入れたシリンジを口の横から差し込み、
吐かないように少しずつ入れていく。

嫌がるなのは変わらないが、
ドライフードよりはあげやすそうになってよかった。
とはいえ自力で食べてくれることが一番なので、
この日は耳に塗る食欲増進剤を追加してもらい、
さらに腎疾患の疑いを見て毎日点滴に通うことになった。

食欲復活
…が。
その日の夜にいつも通りダメ元でおやつを出したところ、
急にガツガツ食べ始めた!
自分から食べるなんて本当に久しぶり。
その後は朝のおやつも完食。
超えらい。

点滴の効果が出るには早すぎるということで、
おそらく食欲増進剤が効いたのか…?
とはいえ腎臓の数値は心配なので、
先生とも相談して念の為毎日の点滴は継続。
いいかんじ
この頃のそとちゃんは絶好調。

おやつメインではあるものの自分から食べてくれるようになり、
強制給餌の割合も減っていった。
たくさん食べたおかげで、体重も2.95kgまで復活。
毎日の点滴通いもがんばってくれて、
4日目には脱水症状もだいぶ改善していたので頻度を週1に減らせることになった。

前庭疾患
食事の問題は改善したものの、
一番の問題である前庭疾患がなかなか良くならない。
首の傾きはだんだん角度がきつくなっているように見えるし、
やっぱり左耳が痛いのかな…?

この頃から鳴き声も少し変になってきた。
前は高い声でかわいくおしゃべりしてくれていたのだが、
若干低めでダミ声のような鳴き方をするようになった。
(近づくと爆音ゴロゴロするのは変わらず。かわいい)
また、先生が診察中に気付いたのだが、
顔面の左側(正面から見て右側)が麻痺しているようだった。

瞬膜がちゃんとひっこんでいることもあるのだが、
出っ放しのときは見た目がかわいそうで、
これが個人的にはかなりつらかった。
流石に左目が見えづらいとそとちゃんも気になるのか、
今まで目ヤニが出やすかったりで閉じがちだった右目が逆にぱっちり開くようになった。
(諦めずに目薬を頑張ってきてよかったね…)

こんな感じで、
前庭疾患の症状は良くなるどころか少しずつ悪くなっているようだった。
二次診療
そんなこんなで投薬と通院が続く中、
先生から脳神経科での二次診療(CT/MRI)の打診をいただいた。
食欲不振と脱水症状はかなり改善した。
抗生剤も細菌検査を実施した上で1ヶ月以上続けている。
なのに症状が改善しない。
これは本当に細菌性の中耳炎なのだろうか?
何か別の原因があって、耳漏や菌はその影響ではないだろうか?とのことだった。

9月に最初の発作が出た時に実は「腫瘍性の問題も一応考えられる」というお話を受けていたが、
症状から最も当てはまるのが中耳炎ということで先生も俺も治療を続けてきた。
でもこの状況では抗生剤を続けても改善が見込めない。
一度腫瘍性の問題を考え直すべきではないか。
正直、考えたくなかった。
抗生剤を続けていれば中耳炎は治り、
元のそとちゃんに戻ると信じてお互い嫌な思いをしながら頑張ってきたのに。
でも、このまま症状が治らずそとちゃんが居なくなる、なんてのはもっと嫌だった。
今の治療で治る見込みが薄いなら、他にできることを見つけたい。
そんな思いで、日本動物高度医療センター(JARMeC)での検査を受けることにした。
当日病院に着いて、まずはレントゲン検査と血液検査。
レントゲン検査の結果はあまり良くなく、
9月の猫ドックでも確認したように耳の奥の骨が溶けているのに加え、
耳の穴から内耳までの経路が何か(膿?腫瘍?)で塞がれてしまっているようだった。

血液検査の結果は腎臓の数値が基準値を超えていて、
そとちゃんの体力が落ちていることを考慮すると全身麻酔をかけての検査にはかなりリスクがある状態。

とはいえ、これは事前にかかりつけの先生とも相談した上で決めていたし、
何よりもそとちゃんの生きる力を信じてサインすることにした。
そとちゃんを預けて半日待機。
あまり生きた心地はしなかった。
「やっぱり中耳炎でした」となることだけを祈って待っていた。
受け取りの時間が来て、
そとちゃんは無事に麻酔から目が覚めていた。
まずは無事に意識が戻ってよかった。
ほんとうにがんばってくれて、すごいねこだ。
CT検査の結果は、
悪性腫瘍(がん)の疑いが強いとのことだった。

耳から第一頚椎にかけて病変が広がっており、頭蓋骨も溶かして脳に到達しているような状態。
中耳~前庭にかけて組織が広範囲に壊れていて、神経疾患の原因はこれで間違いない。
実際の病変を採取して細胞診検査に回したが、
この段階で確定はできないものの炎症や白血球の増大が見られないため、
膿ではなく腫瘍の可能性が非常に高い。
大きなくくりでの症状としては中耳炎+前庭疾患に違いないが、
その原因が細菌性である可能性はほぼゼロ、ほぼ確実に腫瘍に由来するものだろう。
細胞診検査の結果待ちではあるものの、
悪性腫瘍であった場合はすでに脳の広範囲に広がっていることから、
物理的な切除は難しい。
余命は残り数ヶ月との宣告を受けた。
無理やりメモから書き起こしてはいるが、
このとき自分が何を考えていたか、あまり覚えていない。
病院からの帰り道、十数年ぶりに声を上げて泣いたことだけは覚えている。

緩和ケア
二次診療の結果を受けて、かかりつけの先生と相談。
痛みと炎症緩和のため、ステロイド系のお薬を追加し、
抗生剤の量は減らすことになった。
リレキシペットは飲む回数が多く負担がかかるので、休薬していた一日一回のビクタスを再開。
通院も負担がかかるので、これまで通いで行っていた点滴を家で実施。

とにかくそとちゃんが残りの時間を穏やかに過ごせるためにやっていこうということになった。

もう総合栄養食と一般食とかを気にする段階でもないので、
食べられるうちは大好きなおやつをたくさん食べさせてOK。


ニンゲンは悲しいけど、ねこは嬉しいね…
歩行の衰えにも備えて、
トイレを変えたり、ペット用ステップを追加したり。


念の為つけていたペットサークルもそとちゃんが寂しい思いをしないように撤去。
そとちゃんと一緒に過ごす時間を最優先にした。

強制給餌再び
そとちゃんの緩和ケアを始めて、11月になった頃。
だんだんとおやつも残すことが増えてきて、
ついにちゅーるすら食べなくなってしまった。
これまで効果があった食欲増進剤を試しても効果が出ず、
強制給餌を再開することになった。

神経症状で口をあけるのも辛くなってきたのか、
以前よりも嫌がるように。
頑張って飲んでくれるけど、その後は毎回ふきげん。

これまではごほうびのおやつでごまかせたけど、
それができないのでどうやって機嫌を直したらいいかもわからない。

とにかく給餌の後はたくさん褒めて、
逃げたときも無理に追わずに放置するようにした。

そとちゃんが嫌がっているのは明らかだったが、
命を少しでも繋ぐために食べさせるしかなかった。
細胞診検査の結果
強制給餌を再開して少したった頃、二次診療で行った細胞診検査の結果が届いた。
確定診断の結果は悪性上皮性腫瘍。
そとちゃんががんを患っていることが確定した。
あまりにも広範囲に広がっているため、
由来(耳垢腺がん/唾液腺がん/扁平上皮がん)の特定はできなかったそう。
再度かかりつけの先生と相談。
がんに対する治療をするのか、
それはせずにこのままステロイドの投与を続けるのか。
リスクを説明してもらった上で、
自分は抗がん剤(分子標的薬)での治療を選択した。


外科手術は不可能、放射線治療もそとちゃんの体力を考慮すると非現実的。
そんな状態でも腫瘍による神経の圧迫や耳漏を少しでも和らげられれば…と思っての判断だった。
この時点でもう完治を目指すつもりはなく、
あくまで楽にしてあげるための抗がん剤。
分子標的薬は一般的な抗がん剤に比べると効果もリスクも抑えめとのこと。
1,2回試してなにか苦しそうであればすぐやめてステロイドのみに切り替える。
そう決めて投与することにした。
抗がん剤
1回目の投与。
思ったよりも錠剤が大きく、
飲ませるのが大変だった。

初回なので投与後は2日程度様子を見る。
副作用が出た場合は下痢や嘔吐が出るはずだが、
そのような兆候は見られなかった。
残りの時間
そとちゃんは何を考えていただろうか。
自分に残された時間を理解していたかはわからないが、
強制給餌や抗がん剤治療が始まってからも毎日これまでと同じく、
たくさん寝て、

たまに起きて風呂場の水を飲み、

暖かいところを探してもうひと眠り。

また起きては爪を研ぎ、

お気に入りの紙袋にもぐって過ごした。

毎日楽しく、好きなことをたくさんして1日1日を大切に過ごしていた。

(つづく)
おまけ
